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Suica定期券の大回り乗車 [交通]

Suica定期券大回り - 東京近郊区間大回り Wiki* - WIKIWIKI.jp
このページには、ある一定の条件下で「Suica定期券による大回り乗車が可能である」という内容のことが書かれています。

最短経路運賃の特例については、基本的に準用されるのが普通片道乗車券ないし回数乗車券に限られています。特別急行券、特別車両乗車券は別途実乗車区間に対する運賃が必要なのは言うまでもなく。

で。そこのページに書かれている「定期券区間内→区間内:可能」の項ですけど、これについては定期券の本来の用途と使用条件とかみ合わなくなるわけで、理論上は可能なだけで実際は不正乗車として取り扱われるのでは、というのが私の結論でした。


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閑話休題。定期券で改札を入り、区間外へ乗り越したうえで区間外において大回り乗車をし、下車駅では回数乗車券を使用して別途乗車の扱いとして精算する、というのをやりました。
Suica乗車券そのものの場合、規定上はIC乗車券1枚で全区間の乗車を完結することになっていて、紙券や他のIC乗車券の併用は認められていません。ただし、定期券の場合は、券面区間内からの別途乗車という扱いにおいて、券面区間内を発駅とする乗車券(普通片道乗車券、往復乗車券、回数乗車券)を併用できる、という規定があり、今回はこの規定を利用して精算しようと考えたわけです。ちなみに定期券区間外への乗り越し(別途乗車)については、その区間は定期乗車券とは別途の旅行として取り扱うことになっているそうです。まあ申告にもよるそうですが。

私が実行したのは東京ー馬喰町の回数乗車券での乗り越しで、馬喰町下車です。東京では下車せず、上野東京ラインで品川からそのまま通過乗車しているので、まあ普通に見れば別途旅行じゃなくね?となるわけですが、乗車券の規定上では東京で運賃を打ち切り、そこからさらに初乗りとして運賃を収受する規定になっているので、東京から先は乗り越していても回数乗車券での旅行になるわけです。極端な話をすると、東京まで定期券で乗って、改札を出ずに折り返して下車駅では回数券で精算も一応は可能です。一応は。

自動改札ではご存知の通り併用ができないので、有人改札を通ることにはなりますが、その時に実乗車経路を申告したうえで(ていうか入場時間から5時間経過してるんだからどっちにしろ説明は必要にはなるでしょうけど)精算した場合、別途乗車分(区間外乗車)は別旅行の取り扱いになるのか、実際に訊いてみました。



…まあ結論から言うと回数券だけで出ることができました。ただし色々と面倒なことになるのでできることなら一旦下車したうえで再度乗車するのが望ましいというお話。

最初にルートを説明して精算額がどうなるか確認したら「成田までの往復…?」と言われめちゃくちゃ焦りましたが、往復はしていない(片道一乗車)ので往復運賃は規定通りの運賃にならないのでは…(そこじゃない



話を戻して、最初に話した定期券区間内完結の大回り乗車について。
そもそもの話、定期乗車券というものは、購入時に申告した経路(券面区間)どおりに乗車することが前提の乗車券で、券面区間内での乗車に限り、一定の料金で無制限の乗車を認める乗車券です。これは定期券を使っている方ならご存知の通りでしょう。
で、この前提は磁気券の定期乗車券で適用されていましたが、今現在磁気定期券を利用している人は少数派でしょうし、皆さん便利なSuica定期券を利用していることと思います。

IC乗車券は、運送約款と別に定められたIC乗車券取扱規則が適用されます。が、当然のことながらこの条文においても、Suica定期券は券面区間での乗車が前提になっています。(というより、大回りができる根拠になる条文が存在しない)
しかし、実際には区間内の駅で入場し、区間外を経由してから区間内の駅で再び出場することは理論上可能ですし、実際にできてしまいます。しかし、この乗車方法では、自動改札機を通過するときの精算額が0円ではあっても、実際に発生する運賃は普通片道運賃です。つまり、そのまま自動改札を出ることはできても、それ自体は不正乗車に該当するわけです。機械が判別できないから見逃してもらっているだけという話にしかなりません。
つまり、このような乗車の場合、あらかじめきっぷを購入するか、降車時に有人改札で精算するのが正当な取扱いになるというわけです。

これについては、別に馬喰町に限った話ではなく、すべての駅で同じ取り扱いがなされます。定期乗車券の効力と契約を考えればそりゃそうなんですけど、Suica取扱規則を捻じ曲げて解釈している人や、Unlimited Rideを履き違えている人が、実際にできてしまうことを理由に「できる」と主張しているのが現状で、そこにはできる根拠というものは存在していません。契約内容を逸脱した使用方法なんだからできなくて当たり前です。


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「じゃあ区間外への乗り越しも大回りしたら不正じゃね?」という疑問が生まれますが、先に話した通り、Suica定期券の規則では、定期券区間外への乗り越しについては別途乗車として取り扱われます。この別途乗車の扱いというのがなかなかややこしくて、駅員さんとあれこれ話してみたところ、
・申告すれば東京までの定期券による旅行と、そこから先の回数券による別途旅行として処理はできる
とのことでした。が。
これ、すべての駅で共通の取り扱いがされるかというと微妙なところらしく、大回り乗車に理解のある駅員さんでも、定期券区間外への乗り越しはSF利用をした方が面倒な説明もなく改札を通れる、とのことで。
別途乗車というのは、定期券区間の終点から別途の旅行として取り扱い、そこからの初乗り運賃を収受します、という規定で(ざっくりした説明ですけど)、まあ早い話が定期券面区間外への乗り越し精算は区間内発駅からの最安運賃(ICのみ)の初乗りでいただきます、というものです。降りようが通過しようが別の旅行として取り扱われるわけです。
なので、これと先の併用の条項を適用させた結果が今回の結果です。ただ駅員さん曰くややこしいことになるからおすすめはしない、でも理論上、制度上は問題のない使い方ではある、とのことでした。

定期乗車券を使用した区間外乗り越しにおいて、区間外部分での乗り越しに大回り乗車の特例は適用されるかという質問ですが、適用できるかできないかでいけば、あまり好ましくはないが適用せざるをえないのが現状。本来であれば最短経路で乗車してもらうものであるものの、別途乗車部分については、取扱規則にもある通り、Suica乗車券と同等の効力を有する乗車券として取り扱う、となっています。だからこそでしょうか、駅としては処理が面倒なことになるからできれば一旦下車してほしいけど制度としてはそうせざるをえないらしい。
まあ制度上もそうですけど、理論上改札機にタッチしたら通れますしね。


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Suica定期券で、券面区間外の駅から入場し、券面区間外の駅で出場した場合は、規則にある通り通常のSuica乗車券と同等の効力を有する乗車券として取り扱うことになるので、券面区間に関係なく大回り乗車は可能となります。
ちなみに定期券区間内に戻る場合も別途乗車の適用と同等の扱いになるので、不安な方は一度改札窓口で確認してから実行するのが無難かもしれません。

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定期券の話は割とややこしいのでこれくらいにしておくとして、普通の大回り乗車の話。

東京近郊区間には、いわゆる折返し乗車の特例というものが存在しています。有名なのは日暮里と鶴見信あたりでしょうか。
分岐駅通過列車に対する折返し乗車の特例というものですが、これを大回り乗車に適用させるか否かもファンの間で意見がわかれていたりしました。できるって人とできないって人とで。

この際なので確認してみました。非適用になります。気をつけましょうね。


折返し乗車の特例は、基本的には最短経路で乗車する旅客に対しての便宜を図る目的で規定された特例であり、自分から好きで遠回りをしている乗客に適用されるものではないというのが見解でした。ていうかJR的にもこの見解でしょう…。
この場合、大回り乗車の途中で折返し乗車をした場合は、折返し区間の最遠となる駅ないし接続点となる折返し駅で運賃を一旦打ち切り、そこから再び片道運賃が発生するのが正当な運賃の計算方法になるそうですので、大丈夫とか言いながら乗ってる人は気を付けた方が良いですよ…

更にややこしいことに、日暮里周辺では、東北本線の重複乗車か否かというものもあり、そこの扱いも割と面倒だったりします
早い話、日暮里を跨がなければいいってことですけど、例えば三河島以遠~西日暮里以遠のようなパターンも存在します。

map.png
この経路図は一例にすぎませんが、まあ認識としてこういう乗り方ができる、と考えていただければと思います。
京浜東北線・山手線の上野~田端~赤羽間および宇都宮線・高崎線[上野東京ライン]の上野~尾久~赤羽間は、線籍上はどちらも同じ東北本線です。もっと言うと湘南新宿ラインが走ってるあれも東北本線です。
これは私もあまり深く考えずに乗っていましたが、上の図のように、
・駒込以遠~田端~王子経由赤羽~尾久経由上野
という乗り方は可能という解釈になります。一方で、
・駒込以遠~田端~王子経由赤羽~尾久経由上野~日暮里経由三河島以遠
という乗り方は日暮里~上野を重複乗車として扱うことになるので上野で運賃を打ち切る計算をします。
ここまで特に明記しませんでしたが、湘南新宿ラインの場合は田端経由で乗車したとみなされるので、上図でいう池袋~赤羽の経路に該当します。なので、湘南新宿ラインで池袋から赤羽に行き、そこから京浜東北線で折り返すのはNGですが、上野東京ラインで折り返すことはできるということになるわけです。東北本線と尾久支線(と東北貨物線)は王子で合流しますが、そこについては合流地点を赤羽として王子~赤羽は一応別路線扱いで、あくまでも赤羽で合流する扱いだそうです。

・三河島以遠~日暮里~西日暮里以遠
これは重複しないので可ですが、
・三河島以遠~上野~尾久
これは重複するので、最短経路の乗車(もしくはそれに準ずる経路)でなければ上野で運賃を打ち切って計算するのが正当になります。まあ出れてしまうんですけどね。

要するに、通常の乗車方法ならば適用されるような折返し乗車の特例は、大回り乗車においてはまず認められないと考えておいた方がいい、という話です。


  ☆  ☆  ☆

JR北千住で入場し、東武線・メトロ線を経由して、中野から中央線で東京に行きました。
運賃は216円。は?となる話ですが、実際に引き落とされるのは216円です。実は規約でそうなっているから。

北千住駅は、東武・メトロ・JRがすべて同一の改札内にあります。どうしてこういうことになったのかというと

・乗り入れる東京メトロの路線は日比谷線と千代田線。それぞれ東武伊勢崎線、JR常磐線と直通運転を行う
・JRの常磐線(快速)から常磐線各駅停車へはこの駅が最初の乗換駅であり、綾瀬・亀有・金町へはここで乗り換えないといけない
・さらに、日比谷線は東武伊勢崎線のホームを使用しているため、必然的に3社が同一改札内になってしまう

乗客の便宜を図る目的でこのようになっているわけですが、IC乗車券取扱規則では、連続して複数社線をまたがって乗車する場合、乗車経路にかかわらず最低社局数による経路で運賃を算出する(最低廉ではない)、という条文があり、これに則った場合、北千住ー東京のJR線の運賃216円を差し引くことになっています。中間改札を通らない場合ですよ。
実際、紙のきっぷでは不正乗車ですし、運賃分配の問題も生じるので、実際にはどの社局も可能だし条文としてはそうなるけど推奨はできない乗車方法となるわけです。そりゃそうです、この場合だと東武とメトロには一切お金が入りませんからね、タダ乗りと同じです。
ちなみに津田沼ー中野の運賃も同じで、会社数が少なくなるJR線経由の運賃が引き落とされます。低廉となるメトロ線経由の運賃にはなりません。
理不尽な話ですが規定上そうなっているので仕方がない…切符を買いましょう。ちなみに西船橋で中間ラッチを通過すれば乗車経路通りの運賃になります。

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某YouTuberが問題の乗車をし、炎上するということがありました。いわゆる6の字乗車です。
例えば、千駄ヶ谷からスタートし、中央線で秋葉原、そこから山手線一周をして秋葉原で出札というパターン。これ、千駄ヶ谷~秋葉原の170円のきっぷで出札した場合、不正乗車です。


不正乗車となる根拠としては、大都市近郊区間の特例における大回り乗車の特例は、あくまでも同じ駅を二度通らないことが前提になっています。
6の字乗車は、端的に言えば同じ駅を二度通るとみなされるので、実乗車区間の運賃が必要、となるわけです。環状線一周ですからね。
環状線一周を超えない限り、というのは、あくまでも環状線にならない乗車方法を指すので、環状線が出来上がる乗車方法は公式としては不可の見解になるそうです。

まあこれもまた駅によって取り扱いが違ってくるので、前述の某YouTuberのように低廉な運賃で下車できるということも発生しうるわけですが。そもそもの話、下車駅を通過した時点で乗車券の効力(乗車契約)はなくなっている、要は有効な切符を持たずに乗車している状態であることは念頭に置いておくべきでしょう。

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ここまでの話は実際に駅で訊いた話です。そんで制度上の話であり、実際の改札機のシステムとはまた違います。
Suica定期券の場合、当日中であれば無制限に乗車ができてしまうので、極端な大回りをして隣の駅で改札機にタッチすれば降りることができます。というか、改札機のシステム上そうなってしまうんです。
西船橋に関しても、改札機の設定を日付によって変えることができない(休日は直通運転がない)ので、あのような運賃計算の特例が出てきたりするわけです。じつはあれ、西船橋を含む定期券がある場合は中間ラッチ通過記録の有無にかかわらず低廉な運賃を差し引くことになっているんですよ。

駅員さん曰く、実際にどう乗車したかは乗客が申告しなければわからないし、申告されたとしても本当にその経路で乗車したのかは確認するすべがない、だからこそ最短経路の運賃で計算する特例があり、そのような運用になっている、とのことでした。
いくら不正乗車でも、判断ができない、改札機を通れてしまう以上は、不正乗車かどうかを判断できないし、咎めることもできない。便利になった代わりの弊害が現状の運賃計算のルールになっている、とも話していました。正直なんとも言えなくなる…

大回り乗車は合法ではあるものの、制約も多いしあくまでも特例の範囲内であることを忘れてはいけないって結論にはなるわけですが。定期券で大回りは不正乗車なんで以ての外ですよ。
後になって聞き忘れたことを思い出しましたがそれはみどりの窓口で解決すればいいやという結論になったので、とりあえず定期券での大回りは不可、大回り乗車に折返し乗車の特例は適用されない、ここさえ覚えておけば後は自己責任になるのでやりたい方はそのあたりに気を付けたうえで実行してください。


最後に、長々とご回答くださった馬喰町駅の駅員さんにこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。




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9.25追記・補足
以下ツイートより転載

『IC卡取扱規則41条: Suica定期乗車券は、券面表示区間外であっても、同一の取り扱い区間内にある駅相互間であれば、前条の規定を準用して乗車することができる。』
なるほど、Suica定期乗車券で大回りができるって理論はこれからきてるのか…どう考えても区間外乗車の話をしてるのに…
券面表示区間外で"あっても"っていうすごく微妙な言い方だけど、これを定期券区間内に適用できるって言い切るのはちょっと厳しいような気もする
ちなみに前条の規定っていうのがいわゆるふつうのSuica大回りに関する規定で、定期券の場合は定期券区間外のみの乗車に関連する規則の話
要約すると「Suicaエリア内では環状線一周にならなければ好きなルートで乗れるよ」ってこと

「係員の承諾を得ないで、定期乗車券の券面に表示された区間外の区間を乗車したとき又は第161条の規定に違反して乗車したとき。」(旅規168条11項)に違反した乗車(要するに区間外の無賃乗車)は、ICカード取扱規則で明確に不正乗車として乗車券を無効回収するって定められてるからどっちにしろダメでしょ
これは先に出した取扱規則41条が矛盾しているってよりも、そもそもの話41条自体が参照する規定が『通常のIC乗車券』によるSFを使用した乗車なんだから、はなっから定期券区間内の話なんてしていないって捉えるのが自然だし、それなら辻褄が合うわけで
というか、そうとしか解釈のしようがない
ちなみに前条の「係員の承諾」っていうのは、振替乗車やう回乗車(ただし列車の運休・運行不能にかかわるもので、かつ係員が特別承諾した特定乗車経路に限る)のことなので
結局のところ、係員の承諾があったとしても、通常はいわゆる大回り乗車ってのは該当しないわけだし、そこに適用させようってのが(無理な話)


以上です。
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